乳頭温泉郷は秋田県仙北市に位置する温泉地で、鶴の湯・妙乃湯・蟹場・大釜・孫六温泉 六庵・黒湯・休暇村の7つの宿が深いブナ林の中に点在しています。宿泊客向けの「湯めぐり帖」(大人2,500円)を使えば全7湯を1年間かけて巡ることができ、日帰り入浴料金は宿により異なります(詳細は下記表を参照)。鶴の湯は6ヶ月前から電話のみ受付の超人気秘湯です。
乳頭温泉郷とは?7つの宿の個性と泉質まとめ
田沢湖駅からバスで50分ほど山道を進むと、空気が変わる瞬間がある。杉から落葉松、そしてブナへと樹種が切り替わるあたりで、車窓に白い湯けむりがちらりと見えた。乳頭温泉郷に着いたのだとわかる。
乳頭温泉郷は標高700〜800mの山あいに7つの宿が独立して建ち、それぞれが異なる源泉を持つ。同じ「乳頭温泉郷」の名を冠しながら、硫黄の白濁湯もあれば無色透明の美肌湯もあり、泉質の多様さは東北屈指だ。
7つの宿と泉質・特徴一覧
以下は乳頭温泉組合公式サイトおよび各宿公式情報をもとにまとめた一覧です。最新情報は必ず各宿公式サイトでご確認ください。
- 鶴の湯(公式):白湯・黒湯・中の湯・滝の湯の4つの源泉を保有。乳白色の混浴露天風呂が代名詞で、秘湯ファンに最も人気。
- 妙乃湯(たえのゆ)(公式):「金の湯」(含鉄含硫黄泉)と「銀の湯」(単純泉)の2源泉。肌が滑らかになると評判でカップルや女性に人気。
- 蟹場(かにば)温泉:含土類食塩硫酸塩泉と単純硫黄泉の2源泉。無色透明で敏感肌にも優しい。湯治文化が色濃く残る宿。
- 大釜温泉:酸性含ヒ素塩化物硫酸塩泉。廃校の小学校校舎を移築した個性的な建物が特徴。
- 孫六温泉 六庵(ろくあん)(公式):単純温泉とラジウム鉱泉。2025年春に「六庵」としてリブランド・グランドオープン。胃腸や皮膚疾患への効能で古くから湯治客に親しまれる最奥の秘湯。
- 黒湯温泉(公式):単純硫化水素泉と酸性硫黄泉の2源泉。硫黄の香りが濃く、秘湯らしい雰囲気を求める方向け。
- 休暇村乳頭温泉郷(公式):「乳頭の湯」(炭酸水素塩泉)と「田沢湖高原の湯」(単純硫黄泉)の2種。設備充実のリゾートホテル型。
7宿の中で鶴の湯・妙乃湯・黒湯・孫六の4宿は温泉地の奥に位置し、静けさと秘湯感が際立つ。蟹場・大釜・休暇村は田沢湖高原道路沿いにあり、バスアクセスが比較的便利だ。
湯めぐり帖(2,500円)はどこで買える?使い方と注意点
宿のフロントで「湯めぐり帖ください」と告げると、手のひらに収まるほどの小冊子を手渡された。各宿のページに押印欄があり、スタンプを集める感覚で7湯を制覇していく仕組みだ。旅の終わりに完成した帖を見返す楽しさも、湯めぐりの醍醐味のひとつだ。
湯めぐり帖の詳細は以下の通りです(出典:田沢湖・角館観光協会2024年資料):
- 料金:大人2,500円、子ども1,000円(現金のみ)
- 購入対象:乳頭温泉郷内のいずれかの宿に宿泊中の方限定
- 購入場所:各宿のフロント
- 有効期限:購入日より1年間
- 内容:7軒それぞれへの入浴が各1回分含まれる+湯めぐり号(シャトルバス)乗り放題
宿泊しない日帰り客は「湯めぐりマップ」(1,000円、当日限り有効)を購入することで湯めぐり号に乗車できます(入浴料は各宿で別途支払い)。
注意点:湯めぐり帖は宿泊者限定のため、日帰りのみで全7湯を1日で巡ることは各宿の受付時間の関係から現実的ではありません。効率よく全湯を制覇したい場合は1泊以上の宿泊をおすすめします。
鶴の湯の予約はなぜ難しい?予約を取るための3つのコツ
「鶴の湯に泊まりたい」という言葉を温泉好きに向けると、決まって苦笑いが返ってくる。日本でも指折りの予約困難な宿として知られ、6ヶ月先でも電話が繋がらないことがある。
鶴の湯の予約ルールは以下の通りです(出典:鶴の湯温泉公式サイト):
- 予約方法:電話のみ(ネット・メール予約なし)
- 受付時間:午前7時〜午後10時
- 予約解禁日:宿泊希望月の6ヶ月前の1日から
予約を取るための3つのコツ
- 解禁日の朝7時00分に複数回線でかけ続ける:人気の客室は解禁初日の早朝に埋まることが多い。複数の端末を用意して同時発信するのが有効。
- キャンセル狙いで直前をチェック:キャンセル料が発生する直前(宿泊日の1〜2週間前)にキャンセルが出やすい。定期的な電話確認が有効。
- 日本秘湯を守る会の空室通知を活用する:日本秘湯を守る会の予約ページで空室通知を設定すると、直前キャンセルの情報を受け取れる場合がある。
宿泊が叶わなくても、日帰り入浴(700円・10:00〜15:00、月曜日は風呂清掃のため日帰り休み)で乳白色の露天風呂を体験できます(出典:鶴の湯温泉公式)。まず日帰りで訪れ、雰囲気を確かめてから宿泊予約に挑む方法もあります。
各宿のキャラクターとは?妙乃湯・蟹場・大釜・孫六・黒湯の違い
蟹場温泉の露天風呂に足を沈めた瞬間、背後のブナ林がざわりと揺れた。無色透明の湯は温度がちょうどよく、長時間のぼせずに木漏れ日を眺めていられる。大釜温泉とは同じ徒歩圏内なのに、雰囲気はまるで別世界だった。
7宿はそれぞれ個性が際立っている。訪れる目的に合わせて選ぶのがおすすめだ:
- 妙乃湯:金の湯の赤みがかった鉄分湯と、銀の湯の無色湯のコントラストが楽しい。渓流沿いの立地で景観も美しく、カップルや女性一人旅に人気が高い。
- 蟹場:無色透明でぬるめの湯が特徴。湯治文化が色濃く残り、長湯しやすい泉質から連泊客も多い。
- 大釜:廃校となった小学校の校舎を移築した建物が個性的。高温の源泉を活かした湯が楽しめる。
- 孫六温泉 六庵(ろくあん):2025年春リブランド。最奥に位置する秘湯感の強い宿。ラジウム泉特有のしっとりした肌触りが好きな人に支持される。
- 黒湯:硫黄の香りが濃く、いかにも温泉地らしい雰囲気を求める人向け。黒湯と酸性泉の2種を楽しめる。
- 休暇村:7宿の中で最も設備が整ったリゾートホテル型。家族連れや温泉初心者にも入りやすい。レストランや売店も充実。
日帰り入浴できる宿は?料金・時間・おすすめ泉質
日帰り客でも7湯すべてで入浴できます。以下は各宿公式情報・仙北市公式資料(仙北市公式PDF)・乳頭温泉組合をもとにまとめた情報です。料金・時間は季節・年度によって変更になる場合があります。訪問前に各宿へ電話確認をおすすめします。
| 宿名 | 入浴料金 | 受付時間 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 鶴の湯 | 700円 | 10:00〜15:00 | 混浴露天あり、月曜日は日帰り休み(清掃) |
| 妙乃湯 | 800円 | 10:30〜15:00(最終受付14:00) | 火曜定休 |
| 蟹場 | 600円 | 9:00〜15:30 | |
| 大釜 | 600円 | 9:00〜16:30 | |
| 孫六温泉 六庵 | 3,000円(満喫プラン) | 10:00〜15:00 | 2025年4月リブランド、金曜定休 |
| 黒湯 | 600円 | 9:00〜16:00 | |
| 休暇村 | 600円 | 11:00〜17:00 | 設備充実 |
日帰りで複数の宿を巡る場合、鶴の湯(月曜休み、15:00終了)と妙乃湯(火曜定休、最終受付14:00)を午前中に優先訪問し、午後に蟹場や大釜を巡るルートが効率的です。なお孫六温泉 六庵(2025年春リブランド)は日帰り3,000円(満喫プラン)となりますので、予算と目的に合わせてご検討ください。
乳頭温泉郷へのアクセスは?バス・車・シャトルバスを解説
乳頭温泉郷へのアクセスは、JR田沢湖駅から羽後交通バスを利用するのが基本だ。山道を揺られること約50分、終点の「乳頭蟹場温泉」バス停に着く。窓の外に温泉宿の湯煙が見えてきたとき、日常との距離が一気に縮まる感覚がある。
電車+バスでのアクセス
- 東京から:JR東北新幹線で田沢湖駅まで約2時間50分(盛岡乗継)→ 羽後交通バスで約50分
- 盛岡から:JR在来線で田沢湖駅まで約35分 → 羽後交通バスで約50分
- バス料金(田沢湖駅〜終点):目安950円程度(羽後交通運賃表参照)。最新料金は羽後交通公式サイトでご確認ください
- 最新時刻表:羽後交通公式サイトでご確認ください
車でのアクセス
- 東北自動車道盛岡ICから:約1時間
- 秋田市から:約1時間30分
- 各宿に駐車場あり(無料)
温泉郷内の移動:湯めぐり号
乳頭温泉郷内7宿を循環するシャトルバス「湯めぐり号」は、湯めぐり帖(宿泊者)または湯めぐりマップ(1,000円、日帰り客も購入可)を提示することで乗車できます。宿から宿への山道を歩くのは時間と体力を要するため、湯めぐり号の活用が安全で便利です。
周辺グルメは?稲庭うどん・きりたんぽと秋田の名物
温泉から上がり、ほてった体に冷えた風が気持ちいい。そういうときに食べたくなるのが、するりと喉を通る稲庭うどんだ。乳頭温泉郷から車で30〜40分圏内の仙北市・周辺エリアには秋田の名物グルメが揃っている。
- 稲庭うどん:細く平たい乾麺で、滑らかな喉越しが特徴の秋田名産うどん。仙北市内でも提供する宿や飲食店がある。
- きりたんぽ鍋:米をすりつぶして棒に巻きつけて焼いた「きりたんぽ」を比内地鶏の出汁で煮込む秋田を代表する鍋料理。各宿の夕食メニューに含まれることが多い。
- 比内地鶏:日本三大地鶏の一つ。噛むほどに旨味が増す歯ごたえが特徴。乳頭温泉郷の宿の夕食でも提供されることがある。
乳頭温泉郷の各宿では夕食に秋田の郷土料理が楽しめます。外出せずに地元の味を堪能できるのも温泉宿泊の醍醐味です。個別店舗の最新情報は秋田県観光連盟公式サイトでもご確認いただけます。
モデルコース:1泊2日プランと日帰りプランの違い
鶴の湯に泊まった夜明け前、まだ他の宿泊客がいない混浴露天風呂に入ると、乳白色の湯面が朝霧の中に溶けていた。湯の中から見上げると茅葺き屋根の軒先に霜がついている。この光景を見るためだけに、遠くから来る価値がある。
1泊2日モデルコース(鶴の湯宿泊)
- 1日目:田沢湖駅 → バス50分 → 蟹場温泉(日帰り入浴・昼食) → 鶴の湯チェックイン → 夕食(きりたんぽ・比内地鶏) → 鶴の湯夜の露天風呂
- 2日目:早朝入浴(露天風呂) → 朝食後チェックアウト → 妙乃湯(日帰り入浴、10:30〜) → 田沢湖観光 → 田沢湖駅
日帰りプラン(2〜3湯巡り)
- 午前:田沢湖駅発(9:00台バス) → 蟹場・大釜・孫六エリアで2湯入浴(〜12:00)
- 午後:湯めぐり号または徒歩で鶴の湯へ(15:00受付終了に注意) → 入浴後バスで田沢湖駅へ
日帰りの注意点:鶴の湯の日帰り受付は15:00終了のため、逆算してスケジュールを組む必要があります。最終バスの時刻も事前に羽後交通公式サイトでご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q: 乳頭温泉郷の湯めぐり帖は日帰り客でも買えますか?
A: いいえ。湯めぐり帖(大人2,500円)は乳頭温泉郷内のいずれかの宿に宿泊している方のみ購入できます。日帰り客は湯めぐりマップ(1,000円、当日限り有効)を各宿のフロントで購入でき、湯めぐり号シャトルバスに乗車できます。入浴料は別途各宿で支払いが必要です。
Q: 鶴の湯の予約はいつから受け付けていますか?
A: 宿泊希望日の6ヶ月前の1日から電話のみで受付しています(受付時間:午前7時〜午後10時)。ネット予約・メール予約は行っていません。解禁初日の朝7時に複数の端末でかけ続けることが予約成功への近道です。
Q: 乳頭温泉郷は日帰りで何湯入れますか?
A: 受付時間内であれば1日に3〜4湯を巡ることは可能ですが、移動・入浴時間を考えると2〜3湯が現実的なペースです。特に鶴の湯(15:00終了)と妙乃湯(14:00終了・火曜定休)は受付終了が早いため、午前中に優先して計画に組み込みましょう。
Q: 田沢湖駅から乳頭温泉郷へのバス料金はいくらですか?
A: 田沢湖駅から終点の乳頭蟹場温泉まで所要時間は約50分です。バス料金は目安950円程度ですが(羽後交通運賃表参照)、停車場所により異なります。最新の料金・時刻表は羽後交通公式サイトでご確認ください。
Q: 乳頭温泉郷でおすすめの宿はどこですか?
A: 目的によって異なります。「秘湯の雰囲気と乳白色の混浴露天風呂」なら鶴の湯、「渓流沿いの上質な宿」なら妙乃湯、「設備の整ったリゾートホテル」なら休暇村、「本格的な湯治体験と高級秘湯」なら2025年リブランドの孫六温泉 六庵が人気です。乳頭温泉組合公式サイトで各宿の詳細を比較してからご選択ください。
この記事は2026年5月現在の情報に基づいています。料金・営業時間・バス時刻は変更になる場合があります。最新情報は乳頭温泉組合公式サイトおよび各宿公式サイトでご確認ください。


